【ゆるゆり】なもりボーダーの限界

今結京がマイブームだ。二人の関係はなもり先生の引いたボーダーにより"一線"を越えないように制限されているけど、ゆるゆりの中では最も親密であり、かつ幼少期からの思い出…アルバムや回想等の、活発な交流の証を示すことで重みを増した関係だといえる。


さくひまも同様に幼少期からの「腐れ縁」に親密さの根拠を置いているけれど、さくひまは一緒に勉強をすることは多々あっても、そのまま一夜を過ごすことにはならない。仮にどちらかの家にお泊りする状況になっても頑なに拒否はしないよね、くらいの関係である。夜になれば、それぞれの家での生活に戻っていくのだ。はっきり言ってしまえば、一線からは遠い。櫻子の性格にも一因あるかな。


しかし結衣と京子は違う。一歩踏み外せばとことん依存するのである。結衣は京子がいない布団を寂しいものだと思うし、京子は結衣の側に常にいたいと思う。震えるかは別として会いたくて会いたくてしようがなくなるのである。時に愛しさ、さらに言えば性欲に直結する、そんな危うさがこの二人にはある。だから、一旦なもりボーダーを越えた時のことを考えれば、重い愛で押しつぶされそうになる。


非常に曖昧だけども、ここでなもりボーダーの線引きをすると、相手のことが好きで好きでたまらなくてたまらない感情を行為や表情で露わにしたら、これを越えたと考えていい。だからちなつのそれは練習なのです。キスという行為自体は問題にならない。もしちなつがボーダーを越えて本気出したらモザイクになる。


作中でなもりボーダーを越えることはまずない。が、結衣と京子のことを考えると、二人の赤い糸の結ばれ方は時に脳内で化学反応を起こし尋常じゃないレベルになることだろう。だから、ちなつや綾乃が付け入る隙がない、という考えも当然生まれてくる。素直に関係を見つめ直すと、最も不憫なのは綾乃なのだ。ちなつにはあかりがいる。でも、本来の綾乃の好意はギャグ要素によってかき消されている。それは京子の大事件に対する耐性のなさと、綾乃の過剰なテンパリだ。これがないと泥沼の関係が始まる。関係性が固定されたサザエさん時空を保つためには慌てふためき呆けるしかないのである。


それにより、綾乃は今日も「歳納京子ー!」と元気に叫べるし、結衣はちなつの王子様でいられるし、ボーダーの向こうには結衣が京子にデレデレする世界や、綾乃が京子に告白する世界やちなつが結衣にねちっこいキスをしている世界が存在しうる。ただし、その世界に原作は至らない。良い言い方では「無限の可能性が残されている世界」だし、悪い言い方をすると「絶対に恋人以上の関係が成就しない」世界。それがゆるゆりの世界。


読者の想像がなもりボーダーを超えると必ず関係性に疑念を抱くことになるのである。それがゆるゆりの原作の限界でもあり、想像の余地を残すターニングポイントだ。しかしボーダーを越えずとも読んでるうちに顔はゆるくなるからいいんだ。
SSを読みまくってるせいでこじれてます。ファンブック楽しみだなあ。